YouTuber・VTuberの収入も、事業所得や雑所得として所得税の課税対象であり、一定の所得があれば確定申告が必要です。当事務所にも、動画配信やVTuber活動をされている方の税金についてご相談をいただくことがあります。この分野は「ネットで見た情報」と「実際の税務」のずれが大きく、特に消費税の扱い・プラットフォーム手数料の計上・経費の考え方で誤りが目立ちます。この記事では、つまずきやすいポイントを実務目線で整理します。

【意外と知られていない】YouTube・TikTokの広告収入は、消費税の課税対象外です

まず多くの方が驚かれるのがこの点です。YouTubeの広告収入(AdSense)やTikTokの報酬は、実は消費税の課税対象外(不課税)の取引です。

理由は支払元にあります。これらの報酬は、Google や TikTok の国外の運営会社(いずれもシンガポールの事業者)から支払われるため、消費税の世界では国外取引と整理され、日本の消費税がかからないのです。スーパーチャットやメンバーシップ収益も、国外の運営会社経由で支払われるものは同様に扱うのが一般的です。

同じ「収入」でも、相手先で消費税の扱いが変わります YouTube・TikTok の広告収入など 支払元:Google/TikTok(国外の事業者) 国外取引にあたるため—— → 消費税の課税対象外(不課税) 国内の企業案件・グッズ販売など 支払元・販売先:国内の企業や消費者 通常の国内取引のため—— → 消費税の課税対象 課税売上高1,000万円の判定に原則含まれない 課税売上高1,000万円の判定に含まれる ※広告収入等が国外取引にあたるかは、契約の相手方・内容によります。一般的な取扱いのイメージです。  スーパーチャット等も国外の運営会社経由で支払われるものは、同様に扱われるのが一般的です。

これは実務上、大きな意味を持ちます。消費税の課税事業者になるかどうかの「課税売上高1,000万円」の判定に、こうした不課税の収入は原則含まれないためです。広告収入が中心のYouTuberの方は、収入が1,000万円を超えていても消費税の納税義務がない、というケースが普通にあり得ます。逆に、国内の企業案件やグッズ販売は課税対象なので、そちらが伸びてくると判定に入ってきます。収入の種類ごとに整理すると次のとおりです。

収入の種類支払元(typical)消費税の扱い(一般的な整理)
YouTube広告収入(AdSense)Google(国外事業者)課税対象外(不課税)
スーパーチャット・メンバーシップGoogle(国外事業者)課税対象外(不課税)とするのが一般的
TikTokの報酬TikTok(国外事業者)課税対象外(不課税)
企業案件(国内企業のPR動画等)国内企業課税対象
グッズ販売(Booth・イベント等)国内の購入者課税対象

※契約の相手方や内容によって結論が変わることがあります。ご自身の取引の判定は個別にご確認ください。

Boothなどのグッズ販売は、手数料を分けて「総額」で計上してください

Boothなどでグッズやボイス、同人誌を販売すると、販売額から手数料などが差し引かれた残りが入金されます。このとき、入金された金額だけを売上にするのは誤りです。

正しくは、販売額の全額を売上に計上し、手数料は経費(支払手数料)として別に計上します。たとえば10,000円の販売で手数料が1,000円、入金が9,000円だった場合は次のようになります。

誤った処理正しい処理
売上入金された 9,000円だけを売上に販売額 10,000円を売上に計上
手数料(計上しない)手数料 1,000円を経費(支払手数料)に計上
利益9,000円9,000円(同じ)
何が問題?売上が過少になり、消費税の判定や申告を誤る売上・経費とも正確

利益は同じでも、売上の金額そのものが変わるため、放置すると先ほどの消費税の1,000万円判定や、申告書の売上金額を誤ることにつながります。振込明細だけで記帳せず、プラットフォームの売上管理画面で「販売額」と「手数料」を分けて確認・記帳してください。

経費は「売上に対応しているか」で決まります — 有名YouTuberの真似は通用しないことも

必要経費として認められるのは、収入を得るために直接要した費用や、業務上の費用です。「動画に映したから何でも経費」ではありません。プライベートと兼用のもの(家賃・機材・衣装・ゲーム・旅行など)は「家事関連費」と呼ばれ、業務に必要な部分を明確に区分できる場合に、その部分だけが経費になります。

ここで注意していただきたいのが、「他の大御所YouTuberが経費にしていたから、自分も経費にできる」とは限らないという点です。経費になるかどうかは、その人の売上・活動内容との対応関係で個別に判断されます。たとえば同じ高級な機材や企画費でも、それに見合う収益活動をしている方と、始めたばかりの方とでは、業務上の必要性の説明のしやすさがまったく違います。動画で「これ経費で買いました」と言っている例を見ても、その方の規模・実態だから通る話かもしれない、と考えてください。

迷ったら、「この支出が、自分のどの収入にどうつながっているかを説明できるか」を基準にし、企画書・撮影記録・使用割合のメモなど、説明の根拠を残しておくことが何よりの対策になります。

VTuberの方へ — 契約は慎重に。身近に相談できる人を

VTuberとして活動していると、事務所への所属やプロジェクト参加にあたって、足元を見たような条件の契約を迫られることがあります。収益の分配率、経費の負担、そしてアバターやキャラクターの権利(IP)が誰のものになるのか——契約書をよく読まないまま署名してしまい、あとから身動きが取れなくなる例は、この業界では残念ながら珍しくありません。

税金の話に限らず、お金や契約について気軽に相談できる相手を、身近に持っておくことが自衛になります。当事務所は税務の専門家として、収益分配の仕組みがご自身の税金にどう影響するかを整理できますし、法的な論点は提携する専門家におつなぎすることもできます。「契約書にサインする前に、一度誰かに見せる」——これだけで防げるトラブルはとても多いのです。

YouTuber・VTuberの確定申告は、当事務所にご相談ください

当事務所(堺市北区新金岡)では、動画配信・VTuber・クリエイター活動をされている方の確定申告と日々の記帳をサポートしています。オンラインでのご相談にも対応していますので、堺市外・大阪府外の方もお気軽にどうぞ。

なお、漫画・小説など原稿料や印税の収入がある方は、「平均課税」という別の制度で所得税を抑えられる場合があります。詳しくは漫画家・作家・クリエイターの「平均課税」の記事をご覧ください。

確定申告・税務申告のサービス記帳代行、料金の目安は報酬一覧をご覧ください。「自分の収入はどれが課税対象?」「この経費は大丈夫?」という段階のご質問でも、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

※本記事は令和8年(2026年)7月時点の法令等と実務にもとづく一般的な解説です。消費税の内外判定や経費の可否は、個々の契約内容・活動実態により異なります。具体的な判断は当事務所までご相談ください。

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